芦別市旭ヶ丘公園~エゾエンゴサクの海
札幌に住むようになって初めて見た花はミズバショウだけではありません。エゾエンゴサクもそのひとつです。
東京にいた時でも、さすがに水芭蕉の名前は知っていましたが、エゾエンゴサクなんて聞いたこともなく、初めてその名前を耳にした時は、北海道の景気が悪いというニュースが多かったせいで、「蝦夷援護策? ナンジャそりゃ?」でした。
後日、TVで、「エゾエンゴサクの花が満開で、ど~たらこ~たら」というのを見た時、ようやく、「エゾエンゴサク=蝦夷延胡索」という花なのだということを知ったのでした。
一昨年の秋、フジTVで放映された「風のガーデン」で取り上げられたことから、今では本州でも、その名を知る人は少なくないと思いますが、それまでは誰でも知っているという花ではなかったと思います。
初めて実際にエゾエンゴサクの花を見たのは、以前、ブログにも書いた、カタクリの花で有名な浦臼神社へ行った時で、カタクリと一緒に咲いている青い花が、「エゾエンゴサク」だったのでした。
カタクリの花も、東京にいた時には見たことがなかったのですが、カタクリとの初対面と同時に、エゾエンゴサクとも初対面を果たすことができたのでした。
カタクリの、鮮やかなのに、それでいて透き通るようなピンク色も魅力的でしたが、
ほのかな香りを漂わせ、小さな水色の花が寄り添うように咲くエゾエンゴサクもとても印象的で、それからは、ミズバショウの花と共に、春の幕開けの楽しみとなっていったのでした。
ある年、カタクリで有名な、旭川の男山自然公園に行った帰り道、芦別の観音像の近くで偶然見つけ、立ち寄ったのが「旭ヶ丘公園」でした。
旭ヶ丘公園は丘の上にあるのですが、入口付近と、そこから公園へと登る斜面一杯にエゾエンゴサクが咲いていました。
写真では伝わらないと思いますが、今まで見たことのないくらいの規模で、エゾエンゴサクの青が一面に広がる様は、それはそれは見る者を圧倒する、感動的な光景でした。
斜面の起伏が波のうねりのようで、風が吹くと、青いさざなみが木々の間を、まさに「ウェーブ」のように流れ広がっていきます。
思いがけず出会えた風景に、時の経つのも忘れて、ただひたすら眺めていました。
丘の上の駐車場から、さらに園内を登った先の「すいようの森」の中にも、エゾエンゴサクの海が広がっていました。
こちらもかなりの広いエリアにエゾエンゴサクが群生し、
場所によっては、福寿草の黄色が、
太陽の光を反射して海面がキラキラ輝いているような、美しいコントラストを奏でていました。
また、ここでは初めて、珍しいエゾエンゴサクの白花も見ることが出来ました。
旭ヶ丘公園は、ネットで調べても、大した情報は得られないのですが、一応、桜の名所として知られている公園で、また、サル山などがあるミニ動物園的な存在らいのですが、エゾエンゴサクの情報はあまりヒットしません。
この時期、まだ桜は咲いておらず、休日にもかかわらず人の数は多くはなく、公園入口も静かでしたが、こちらのエリアは公園の奥深い場所なので、ほとんど人の姿もなく、エゾエンゴサクの海を独り占め。
「風のガーデン」の最終回を見た時も、ここを思い出しましたが、一般に知られている場所かどうかは別にして、私の中ではエゾエンゴサクと言えば旭ヶ丘公園で、なんにしても、この規模のエゾエンゴサクは、北海道でも有数の場所ではないかと思います。
この時は男山のカタクリがメインで、デジカメのメディアの残りが少なく、満足できるだけの写真が撮れなかったので、いつか必ずもう一度来なければと思いつつ、結局、再訪を果たせないまま東京に戻って来てしまったのが、とても心残りです。
エゾエンゴサクは、(カタクリや福寿草もそうですが、)春に花が咲き、夏を過ぎると地上部を残さずに土の中の地下茎として過ごす、スプリングエフェメラル(Spring ephemeral)と呼ばれる草花の一種です。
スプリングエフェメラルは、早春の短い期間だけ、その可憐な姿を地上に見せることから、「春の妖精」と呼ばれていますが、英語の意味は、エフェメラル=儚い(はかない)。
あの時のエゾエンゴサクの海は、今の私にとって、まさにスプリングエフェメラル。
はかなくも美しい、早春の幻(まぼろし)だったような気がします。
★スプリング・エフェメラル(春の妖精)の意味 (石鎚自然写真館より)
※スプリングエフェメラルについては、こちらのページの解説がその雰囲気を良く伝えていると思います。
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(2010年05月初旬のある日)
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この記事へのコメント
なんとかまた札幌へ、北海道へ、戻ることはできないものだろうか……最近そんなことばかり考えています。
返コメ遅れて申し訳ありません。
先週から、古いPCのメンテ&新しいPCのセッティングでバタバタしていました。
私も、何かにつけ、北海道に戻るきっかけを探しながらの東京での暮らしです。
古いPCは、記事に書いたように、札幌生活を共に過ごした仲間なので、新しいPCが来ても捨てられないし、HDDには札幌の思い出(写真)が詰まっています。
どの写真をみても、北海道を思い出しますが、エジエンゴサクのように、東京では見られないものには特に、「また北海道で見ることができるだろうか」と、そんな思いが強くて、どんどん記事が長くなってしまいます。